ユーレイルパスとは?
ユーレイルパスは、ヨーロッパの鉄道を一定期間内で自由に利用できる周遊パスです。かつては紙のチケットが主流でしたが、現在はスマートフォンアプリ「Rail Planner」で管理できるモバイルパスが主流となっています。1カ国パスでは、モバイルパスのみ使用可能な国(ドイツ)、紙のチケットのみ使用可能な国(ラトビア)があり、それ以外の国では両方が使用可能です。
主な特徴
- ヨーロッパ33カ国で利用可能: EUの加盟国を超えた広範囲をカバー(イギリス、スイス、トルコなども含む)
- 30,000以上の目的地: 主要都市から小さな町まで、幅広いネットワークで移動可能
- 柔軟な旅程: 事前に計画を立てて順番に巡るも良し、気分次第で行き先を変更するも良し
対象外の国
- アルバニア、コソボ、モルドバ、ウクライナ、ベラルーシなど
ユーレイルパスの種類と選び方
ユーレイルパスには様々な種類があり、自分の旅のスタイルに合わせて選ぶことができます。
グローバルパス vs. 1カ国パス
グローバルパス
- 対象33カ国すべてで利用可能
- 複数国を周遊したい方に最適
- 料金は1カ国パスに比べて高め
1カ国パス
- 特定の1カ国のみで利用可能(周辺国の一部が含まれる場合がある)
- 1つの国をじっくり観光したい方に最適
- グローバルパスより価格が抑えられる場合が多い
- ドイツの1カ国パスは「ジャーマンレイルパス」と呼ばれます。

[旅行情報]ジャーマンレイルパスの購入前に知っておきたい注意点:2025年版
ジャーマンレイルパスの概要ドイツは全国的に鉄道網が発達しており、移動手段としてどこに行くにもとても便利です。乗車の都度にチケットを予約し購入することも可能ですが、周遊券であるジャーマンレイルパスを利用すると購入の手間を省け、金額的にもお得で...
連続使用パス vs. フレキシブルパス
連続使用パス
- 指定した期間(15日、22日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月)連続で毎日利用可能
- スケジュールがぎっしり詰まっており、毎日使用する場合に適している
フレキシブルパス
- 一定期間内(1ヶ月または2ヶ月)で指定した日数(4日、5日、7日、10日、15日)のみ利用可能
- 特定の都市に長く滞在する予定がある場合に効率的
座席クラス
- 一等(First Class): 座席が広く、快適で静か。ビジネス利用者が多い
- 二等(Second Class): 標準的なサービスで十分快適。経済的で、鉄道旅行者の多くが利用
年齢による割引
- ユース料金(12〜27歳): 大人料金より約25%割引
- シニア料金(60歳以上): 大人料金より約10%割引
- 子供料金(4〜11歳): 大人1名につき2名まで無料
- 幼児(4歳未満): 無料
ユーレイルパスの購入方法
ユーレイルパスは主に以下の方法で購入できます。
公式サイトからの購入
- ユーロでの購入となるが、最新情報を直接確認できる(日本語サイトあり)
- 購入後、11カ月以内に利用開始する必要がある
旅行予約サイトからの購入
- 日本語対応で購入手続きが簡単
- 割引クーポンが適用できることもある
- 為替変動を気にせず日本円で購入可能
モバイルパスの使い方
現在主流となっているモバイルパスの使い方を解説します。
アクティベーション(利用開始手続き)
- ユーレイル公式アプリ「Rail Planner」をダウンロード
- アプリの「My Pass」から「Add a Pass」をタップ
- 確認メールに記載されている名前(英語)とパス番号を入力
- 「Create a trip」で旅行名をつけ、旅程を作成
- 初回使用時に旅行で携帯するパスポート番号を入力
- 最初の乗車予定日を入力(この日からパスの有効期間がカウント)
旅程作成と電車の検索
- アプリの「Planner」で出発駅、到着駅、希望時間を入力し検索
- 希望の列車を選び「Save journey」で保存
- 「My Trip」で登録済み日程を確認
乗車時の手続き
- 乗車当日、「My Pass」から該当するTravel dayを選択し「Show ticket」をタップ
- 表示されたQRコードを車掌に提示(パスポートと一緒に)
- 通信環境が不安定な場所もあるため、QRコードのスクリーンショットを保存しておくことを推奨
座席の予約について
ユーレイルパスを持っていても、一部の列車では座席予約が必要です。
予約が必要な列車
- 高速列車(フランスのTGV、イタリアのFrecciarossa、スペインのAVEなど)
- 寝台列車(NightJetなど)
- 国際列車(ユーロスター、Thalysなど)
予約料金の目安
- 国内列車: 約6ユーロ~
- 国際列車: 約15ユーロ~
- 寝台列車: 座席タイプにより異なる
予約方法
- Rail Plannerアプリで検索時に「Seat reservation required」と表示された列車を選択
- 詳細画面で「Seat reservation required」→「How and when to book?」をタップ
- 「Go to the Website」で予約サイトに移動し、手続きを行う
国別の予約サイト
- フランス: travel.b-europe.com
- イタリア・オーストリア: www.oebb.at
- スペイン・ポルトガル: 駅の窓口で予約(オンライン予約不可)
- ドイツ・スイスなど: 基本的に予約不要
ユーレイルパスのメリット
柔軟な旅程が可能
- 予定変更に柔軟に対応できる
- 気分によって行き先を変更できる
- 乗り遅れても次の列車に乗れる安心感
出発日が未定でも安心
- 出発の11カ月前から予約可能
- 具体的な旅行日程が決まっていなくても購入可能
- 出発直前にアクティベーションすればOK
為替変動リスクの回避
- 事前に購入しておけば、現地での為替変動を気にする必要がない
- 長期の周遊旅行では、個別チケット購入に比べて経済的な場合も
特典やサービス
- フェリー料金の割引
- 一部の公共交通機関が無料
- ホステル特典やシティカード割引など
デメリットと注意点
全ての鉄道が乗り放題ではない
- 高速列車や寝台列車などは別途予約料金が必要
- 都市内の地下鉄やトラムには使えない
- 格安鉄道ブランド(Ouigo、Avloなど)には使えない
ネット環境への依存
- モバイルパスはネット環境がないと利用しづらい
- QRコードのスクリーンショットを保存しておく必要がある
人気路線の予約困難
- 混雑期の人気路線は早期に満席になることがある
- 旅行計画時に事前に座席の空き状況を確認すべき
アクティベーションの必要性
- 最初の利用前にアクティベーション手続きが必要
- 手続きを忘れると罰金が発生する可能性あり
ユーレイルパスが特におすすめの人
ユーレイルパスは以下のような方々に特に適しています。
- 数週間以上の長期ヨーロッパ滞在を予定している人
- 複数国を周遊したい人
- 柔軟な旅程で旅行したい人
- 鉄道での移動自体を楽しみたい人
- 27歳以下のユース割引が適用される若年層
一方、以下の場合は個別チケットの購入を検討した方が良いでしょう。
- 2週間以内の短期旅行
- 1〜2カ国のみの訪問
- 事前に旅程が確定している場合
- 数ヶ月前から予約可能で格安チケットを狙える場合
おわりに
ユーレイルパスは、ヨーロッパの鉄道旅行をより便利で柔軟なものにしてくれるツールです。単に安さだけを求めるのではなく、旅の自由度や快適さも含めて総合的に検討することが大切です。
事前にしっかりと計画を立て、自分の旅行スタイルに合ったパスを選択することで、素晴らしいヨーロッパ鉄道の旅を楽しむことができるでしょう。アプリの使い方や座席予約の方法をマスターすれば、ユーレイルパスの真価を存分に発揮できます。
歴史ある街並み、絵画のような田園風景、雄大なアルプスの山々など、ヨーロッパの多彩な景色を車窓から眺めながら、忘れられない旅の思い出を作ってください。
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