[体験記]フレスコ画(壁画)とキリスト受難劇で有名な村:オーバーアマガウ

オーバーアマガウとは?

オーバーアマガウは、ドイツ南部のバイエルン州に位置する人口約5,000人の美しい小さな村です。アルプスの山々に囲まれた自然豊かな景観と、建物の外壁に描かれた美しいフレスコ画で知られています。また、この村は10年に一度開催される「キリスト受難劇」で世界的に有名になりました。

380年以上の歴史を持つこの劇は、元々はペストの流行から村が守られたことへの感謝の証として始まりました。現在では、世界中から約50万人もの観光客がこの特別な公演を見るために訪れます。

また、オーバーアマガウは木彫り工芸の伝統的な生産地としても知られており、精巧な作品は世界中のコレクターに愛されています。この村を訪れる観光客は、美しい建築物、芸術、歴史的な意義、そして周辺の素晴らしい自然景観を楽しむことができます。

美しいフレスコ画の世界

壁に描かれた芸術

オーバーアマガウの街を歩くと、多くの建物の外壁に美しいフレスコ画が描かれていることに気づくでしょう。これらのフレスコ画は18世紀から描き始められ、現在でも村の特徴的な景観を形成しています。

フレスコ画とは、漆喰が乾かないうちに水彩絵の具で描く技法で、非常に耐久性があり、長い時間その美しさを保つことができます。この技法は古代から続くもので、特にルネサンス期に盛んに使用されました。

フレスコ画の特徴と技法

  • 3D効果 – オーバーアマガウのフレスコ画の最大の特徴は、その立体的な表現です。窓枠の上下にある装飾や建物の角の部分の柱は壁に描かれたものですが、影まで描かれているため、立体的に見え、本物の装飾のように見えます。
  • 多様なテーマ – キリストにちなんだ宗教画からグリム童話をモチーフにした絵まで、様々なテーマのフレスコ画が村中に点在しています。
  • 伝統的な技術 – 漆喰の上に水彩絵の具で描くこの伝統的な技術は、代々受け継がれてきました。

ガラスの入っている窓枠部分は本物ですが、窓枠上下にある装飾や建物の角の部分の柱は壁に描かれた絵であり、影まで壁に描かれており立体的に見えるので絵ではなく本物の装飾のように見えます。

伝統的な木彫り工芸

オーバーアマガウは、フレスコ画と並んで伝統的な木彫り工芸の産地としても世界的に有名です。15世紀から続くこの伝統は、現在も村の重要な文化遺産であり、経済的な柱となっています。

歴史的背景

オーバーアマガウの木彫り産業は15世紀に始まり、特に宗教的なテーマの作品が多く作られてきました。この伝統は世代から世代へと受け継がれ、村の文化的アイデンティティの一部となっています。

職人技

オーバーアマガウの木彫り職人は、代々受け継がれる技術で非常に精巧な作品を生み出します。特に表情や細部の表現に優れており、世界中のコレクターに高く評価されています。

作品の種類

宗教的な像、伝統的なクリスマスの飾り、装飾品、日常品など、様々な木彫り製品が作られています。特にキリスト像や聖家族の像は、伝統的な品目として人気があります。

木彫り工芸の特徴

  • 手作業による制作 – 全ての工程が手作業で行われ、一つ一つの作品に職人の魂が込められています。
  • 地元の木材使用 – 主にカエデやリンデン(菩提樹)など地元で採れる木材が使用されます。
  • 繊細な彩色 – 多くの木彫り製品には細かな彩色が施され、より生き生きとした表現となっています。
  • コレクターズアイテム – オーバーアマガウの木彫り製品は、単なる土産物ではなく、世界中のコレクターに愛される価値のある芸術品です。

キリスト受難劇

この受難劇の起源は1634年に遡ります。当時、村はペストの流行に見舞われ、多くの人々が亡くなりました。村人たちは神に祈り、もし生き残った場合にはキリストの受難劇を演じることを誓いました。その後、村はペストの影響を免れ、約400年にわたりこの劇が続けられています。

受難劇は通常、二部構成で、合計約5時間の上演時間があります。演劇の合間には歌唱シーンがあり、舞台美術も変化しながら物語が進行します。

この受難劇には約1800人が出演し、村の人口の約3分の1が関与しています。上演にあたる年は、村人たちは本職を休むこともあり、特に重要な行事として位置づけられています。また、上演は毎年行われるわけではなく、10年ごとに行われるため、村全体がこのイベントに向けて準備を進めます。

キリスト受難劇が上演される劇場

次回の受難劇はいつ?

次回公演スケジュール

元来は1990年、2000年、2010年と10年毎に開催されてきましたが、コロナの影響で2020年には開催できずに2022年に開催されました。よって次回は2032年となりますが、さすがにまだチケットの予約は始まっていないようです。(2025年時点)

具体的な日程や公演時間は、通常、公演の約3〜4年前に決定・発表されます。2032年の受難劇に関する詳細な情報は、2028年頃から発表される見込みです。

公演形式

過去の公演を参考にすると、2032年も以下のような形式になると予想されます:

  • 二部構成 – 前半約2時間30分、休憩を挟んで後半約2時間30分の合計約5時間の公演
  • 言語 – 公演はドイツ語で行われますが、多言語の台本が用意されています
  • 上演時期 – 5月から10月にかけて(次回は2032年5月中旬〜10月上旬と予想される)
  • 公演頻度 – 週に数回(例:火・木・金・土・日)

オーバーアマガウへの行き方

最も近い空港はミュンヘン国際空港で、そこからは鉄道、バス、タクシーを利用してオーバーアマガウに向かうことができます。バスを利用する場合、ミュンヘン中央駅からオーバーアマガウ行きのバスがあり、所要時間は約2時間です。

オーバーアマガウの周辺にはリンダーホーフ城、ノイスヴァンシュタイン城、ヴィース教会などの有名な観光地があり、これらを日帰りで観光出来る現地バスツアー(日本語ガイド付き)がお勧めです。

まとめ:オーバーアマガウの魅力

オーバーアマガウは、380年以上続くキリスト受難劇、美しいフレスコ画、伝統的な木彫り工芸など、豊かな文化遺産を持つ特別な村です。アルプスの山々に囲まれた美しい自然環境の中で、歴史と伝統が息づくこの村を訪れることで、現代では珍しい心の安らぎと感動を体験することができるでしょう。

特に10年に一度のキリスト受難劇は、単なる観光イベントではなく、村人たちの信仰と誓いから生まれた文化的・精神的に重要な行事です。次回2032年の公演を見るチャンスがあれば、ぜひ早めの計画と予約をおすすめします。

また、オーバーアマガウ自体の魅力だけでなく、近隣にはノイシュヴァンシュタイン城やリンダーホーフ城などの世界的に有名な観光地もあり、南ドイツ旅行の拠点としても最適です。バイエルンの豊かな文化と美しい自然を満喫できるこの地域は、一度は訪れる価値があります。

旅のプランニングポイント

オーバーアマガウへの旅行を計画している方は、以下のポイントを参考にしてください:

  • 受難劇を見たい場合は、数年前から情報収集と予約を
  • 村の散策には半日〜1日を予定すると良い
  • 周辺の観光地も含めた数日間の旅程がおすすめ
  • ミュンヘンを拠点にした日帰り観光も可能
  • 伝統的なバイエルン料理も忘れずに味わいましょう

周辺の見どころ

オーバーアマガウを訪れる際は、周辺の魅力的な観光スポットも合わせて訪問することをおすすめします。半日から1日で行ける距離に、世界的に有名な観光地がいくつもあります。

リンダーホーフ城

オーバーアマガウから約10kmの場所にある美しい小城です。ルートヴィヒ2世が建造した3つの城の中で唯一完成し、フランスのロココ様式の華麗な内装が特徴です。

  • アクセス: オーバーアマガウからバスで約30分
  • 見どころ: 豪華な宮殿内装、美しい庭園、ヴィーナスの洞窟
  • 所要時間: 半日程度

ノイシュヴァンシュタイン城

ディズニーランドのシンデレラ城のモデルとしても知られる世界的に有名な城です。ルートヴィヒ2世の夢の城とも呼ばれ、その美しい外観と内部装飾で多くの観光客を魅了しています。

  • アクセス: オーバーアマガウからバスと鉄道を利用して約1時間30分
  • 見どころ: 白亜の城、王の寝室、中世の騎士をテーマにした内装
  • 所要時間: 1日程度

ヴィース教会

オーバーアマガウから約15kmの場所にある世界遺産の教会です。ロココ様式の傑作と言われ、豪華で美しい内装が特徴です。「アルプスの真珠」とも称される美しい教会です。

  • アクセス: オーバーアマガウからバスで約25分
  • 見どころ: 豪華な天井フレスコ画、祭壇彫刻
  • 所要時間: 1~2時間程度

エッタール修道院

オーバーアマガウから約8kmの場所にある美しいバロック様式の修道院です。1330年に創設され、現在も修道士たちが活動している生きた修道院です。

  • アクセス: オーバーアマガウからバスで約15分
  • 見どころ: バロック様式の教会、伝統的なリキュールやビール醸造所
  • 所要時間: 2~3時間程度

ミュンヘン出発1日観光ツアー (日本語ガイド付き、入場料込み)

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