トイレが有料で少ない
ドイツのトイレは日本とは大きく異なり有料である場合が多く、数も非常に少ないです。これは設備維持費の確保や衛生状態の向上を目的としたものですが、旅行者にとっては事前の心構えが必要です。旅行の動線を考えて空港でトイレを済まして置いたり、ホテルから出発前に済ますなどです。また、外出先でトイレを探す際には小銭を用意し、カフェやレストラン、商業施設などを上手に利用することが大切です。
料金は一般的に以下の通りです:
- 駅のトイレ:約1ユーロ(約130円)
- その他の公共トイレ:0.5〜0.7ユーロ(約65〜90円)
トイレの入り口には通常、お金を入れるゲートや機械が設置されており、支払いをしないと中に入れないシステムになっています。また、一部の場所では係員(トイレフラウと呼ばれる人)がいて、直接お金を渡すタイプもあります。
トイレの入口でどっちか迷うDとH
日本と違って色による区別(男性青、女性赤)がない場合が多く、ピクトグラムによる男女表示も少なく、文字だけで表記してあるところが多いです。
ドイツでは「D」と「H」というように、この2つのアルファベットだけで表示されていることも多く、日本人旅行者にとっては混乱を生じます。
文字での表示例と意味
- 女性用トイレの表示:
- 「Damen」(ダーメン):女性の意味
- 「Frauen」(フラウエン):女性の意味
- 「D」:Damenの頭文字
- 男性用トイレの表示:
- 「Herren」(ヘレン):男性の意味
- 「Männer」(メナー):男性の意味
- 「H」:Herrenの頭文字
ちなみに私は男性なので女性用はダメ(ダーメン)というように覚えました。しかし、日本人の感覚では「ヘレン」の語感が女性的なので結局いつも迷ってしまいました。
日曜日・祝日にほとんどの店が閉まる
ドイツでは「閉店法」(Ladenschlussgesetz) という特別な法律があり、店舗の営業時間を厳しく規制しており、日曜日や祝日になるとスーパーマーケット、ショッピングモール、小売店など、ほとんどの商業施設が閉店します。
- 現行法(2003年8月2日制定)では:
- 日曜日および公的祝日は原則として営業禁止
- 平日(月曜〜土曜)は時間制限あり(過去は20時までだったが、州によって異なる)
さらに、祝日はドイツ全部が同じではなく、州によって異なるので目的地の州の祝日を確認する必要があります。
日曜日・祝日に開いている例外的な施設
特例として以下のような場所は営業が許可されています。
- 飲食店・レストラン:法的例外として営業可能
- 観光地の売店:観光客向けの例外措置あり
- 駅構内の店舗:旅行者のための例外あり
- ガソリンスタンド:生活必需品として限定的に営業可能
- 一部のパン屋:午前中のみ営業できるケースがある
観光客の対応方法
ドイツを訪れる観光客は、この特殊な状況に対処するために以下の点に注意する必要があります。
- 土曜日までに必要な食料や生活用品を購入しておく(帰国時のお土産をあらかじめ買っておく)
- 日曜日に利用できる例外的な施設(駅のスーパーなど)を事前に調べておく
- レストランや美術館などのレジャー施設は営業しているので、それらを中心に計画を立てる
ただし、日曜日に開いている美術館や博物館は月曜日が休館日になることがあります。
英語が通じないことがけっこうある
ドイツを訪れる際、多くの方は「ヨーロッパだから英語が通じるだろう」と考えがちですが、実際には英語が通じないケースがしばしば発生します。ドイツは世界的に見れば英語力が高い国に位置づけられていますが、年齢、地域、職種により顕著な差があります。
年齢による差
- 若い世代(40代以下): 比較的英語が通じやすい
- 学校教育で英語を学んだ世代
- 国際的なメディアに触れる機会が多い
- 年配の世代: 英語力が限られていることが多い
- 教育制度の違いや当時の社会状況による
- 特に旧東ドイツ地域では英語よりロシア語を学んだ人も多い
地域による違い
- 大都市(ベルリン、フランクフルト、ミュンヘンなど):
- 国際的な環境のため英語が通じることが多い
- 観光客や外国人居住者が多いため対応できる人が増えている
- 地方や小都市:
- 英語対応が限られる場合が多い
- 日常的に外国人と接する機会が少ないため
職種による違い
- 英語が通じやすい場所:
- 高級ホテル、観光地のレストラン
- 国際空港、主要観光スポット
- 国際企業のオフィス
- 英語が通じにくい場所:
- タクシーの運転手(特に高齢の運転手)
- 地元のスーパーやマーケット
- 役所や公共サービス窓口
- 地方の交通機関
私がドイツで鉄道を利用した際に間違った列車に乗車してしまった時、検札に回ってきた鉄道職員が英語ができず、なおかつ私はドイツ語ができなかったので会話が成立しなかったことがありました。すると、その職員が乗客の中で英語ができる学生を探して連れてきて通訳をしてもらい、たいへん助かったことがありました。
次駅の車内アナウンスで都市名を言わない事がある
ドイツの電車では次駅のアナウンスをする際に、「Frankfurt Hauptbahnhof(フランクフルト中央駅)」など「都市名+中央駅」とはアナウンスせず、都市名を付けずに、単に「Hauptbahnhof」(中央駅)とだけアナウンスすることがあります。現地の人々にとっては日常的なものですが、観光客にとっては混乱します。
さらに、どこの都市にもたいてい中央駅が存在し土地勘のない観光客はとても混乱してしまいます。
具体的な日本のアナウンスとの違い
この「中央駅」のみの案内方法は、日本の鉄道アナウンスとは大きく異なります:
- 日本の場合: 「次は東京駅、東京駅です」というように駅名をフルで案内
- ドイツの場合: 「Nächster Halt: Hauptbahnhof」(次の停車駅:中央駅)
この違いの理由としては:
- 都市構造の違い:
- ドイツの都市では一般的に1つの「中央駅」が交通の中心である
- その都市内では「中央駅」と言えば特定の駅を示すことが明確である
- 鉄道システムの特性:
- ドイツの鉄道は都市間を結ぶ長距離路線と都市内の公共交通が明確に区別されている
- その結果、文脈から「どこの中央駅か」が明らかな場合が多い

ドイツの冬は日が短い
ドイツの冬はかなり日が短くなりますので、これを考慮して旅行計画をたてる必要があります。
具体的には、12月の冬至前後には、ドイツの多くの地域で日の出が朝8時頃、日没が午後4時前後になります。特に北部(例:ハンブルクやベルリンなど)では、日照時間は7〜8時間程度とかなり短くなります。一方、南部(ミュンヘンなど)でも日照時間はそれほど変わりませんが、やや日の出・日没が異なるくらいです。
また、曇りや霧の多い天気も重なって、実際の「明るさ」を感じられる時間はもっと短く感じられることもあります。
これはドイツだけでなく、北緯が高いヨーロッパの国々に共通する特徴です。逆に夏になると、日がとても長くなり、夜10時くらいまで明るいという逆の現象も見られます。
ホテルの窓の開け方が難しい
ドイツのホテルでよく見かける、「チルト&ターン窓(Tilt and Turn window)」の開け方が最初はよくわからず戸惑ってしまいました。
ハンドルの位置で開き方が変わる窓
- ハンドルが下向き(6時の位置):窓は閉まってロックされている状態。
- ハンドルが横向き(3時の位置):窓が左側を支点にして横方向(内開き)に開く。ドアみたいな開き方。
- ハンドルが上向き(12時の位置):窓が下側を支点にして縦方向に内側に傾く。これが「チルト」の状態で、上だけが少し開く換気用の開け方。
注意点
- ハンドルを中途半端な位置にするとロックが外れなかったり、誤作動することもあるので、しっかりカチッと回すのがコツです。
- 開けたまま放置しておくと、冬はとても寒くなります。


